人形の知識(五月人形)

  1. ひな人形
  2. 五月人形
 

知っていましたか?お人形にまつわるお話(五月人形編)

 

端午の節句

 男の赤ちゃんが産まれると、その子の無事な成長を願って鎧や兜、また鯉のぼりなどを飾ります。長い武家政治の中で、鎧や兜は男子にとって非常に大切なものでした。それが今 日では、その精神を大事にし、戦いの身体防護として鎧や兜は身を守るという大切な役割 を持っているため、五月人形として鎧や兜を飾るようになりました。 男の子の誕生を祝い、無事に成長して、強く逞しく、立派な男子になるようにとのご家族 の願いがあります。 つまり鎧や兜が身代わりになって、その子に厄や災いが降りかかりませんように、武将のように強く逞しく、そしてみんなに尊敬されるような立派な男に成長しますように、また 受験・就職・結婚など、人生の幸福に恵まれますように、という思いが込められているの です。

 

菖蒲の花

 五月人形には菖蒲の花がつきものでございます。それは男の子にふさわしい勝ち負けの勝負や、倹約尚武の尚武に通 じていることや、花がこのシーズンに咲くことから、菖蒲の花は端午の節句には欠かせないものとなっています。菖蒲の葉や根を刻んで湯に入れる菖蒲湯は、香りも良いしまた健康にも良いとされています。

 

外飾り・内飾り

 端午の節句飾りには、鯉のぼりや武者のぼりなどの外飾りと、鎧飾りや兜飾り、子供大将飾りなどの内飾りに別 れます。本質的には立身出世を願う鯉のぼりと、子供の無事な成長 を願う内飾りとでは意味が違うので両方飾ることが望ましいのですが、地方によっては鯉のぼりをメインに内飾りは形だけという地方もありますし、内飾りをメインに鯉のぼりは小さな物にするという地方もあります。

 

送り主

 端午の節句飾りは、一般的には、お嫁さんの実家から贈られるとされていますが、最近ではお子様の数が少なくなったせいでしょうか、かわいいお孫さんのために両家で折半するということもございます。外飾りの鯉のぼりはお嫁さん側で、内飾りの鎧や兜などはお婿さん側で、と分けることもあるようです。 また地方によっては、しきたりがはっきり残っている所もあるようです。お仲人さまや、 ご親戚、お友達などは、金太郎や桃太郎などの童人形や武者人形、お子様の魔除けとしての鐘馗人形などのケースに入った人形を贈るのが一般的でございます。わからない点などございましたら何なりと専門の販売員までお尋ね下さいませ。

 

飾る時期、しまう時期

 では端午の節句人形はいつから飾れば良いでしょう。 春分の日の頃から四月中頃までには、遅くてもお節句の一週間前までにはお飾り頂きたい ものです。そして一番重要なことは毎年お人形を飾るということです。年に一回のお祭り ですので面倒くさがらずに、毎年飾ることによって、ご家族の願いもきっとかなえられる ことでしょう。 季節の節目という節句の由来を考えると、五月の中頃までの天気の良い日にはしまいたいものですが、地方によっては月遅れ・旧暦の風習もありますのであまりこだわる必要はないと思います。また鯉のぼりも同様です。

 

お祝い・返礼品

 初節句のお祝いはどのようにしたら良いでしょう? 本来ならば五月五日の当日、あるいは宵節句といって前日の五月四日の晩に、両家のご両 親やお祝いをくださった方などをお招きします。 しかし現在ではちょうどゴールデンウィークの最終日に当たります。ゴールデンウィークといえば、どこのご家庭もいろいろとご予定がございましょうから、その季節感の中であればよろしいかと存じます。 お返しはお子様のお名前で内祝いとして出します。古くから、チマキ、柏餅が多く使われ ております。赤ちゃんのスナップ写真をつけて贈れば、成長ぶりが解ってなお一層喜ばれ るでしょう。ただし、お祝いを頂いた方を端午の節句飾りをしたお祝いの席に招待すれば お返しの必要はありません。

 

赤ちゃん一人一人の飾り物

  端午の節句飾りは、とくに鎧飾りや兜飾りは、その子の成長と幸福をお祝いするもので、 赤ちゃんの身代わりとなって厄や災いを引き受けてくれるものですから、基本的にその五月人形は一人一人のお守りなのです。神社のお守りを割って二人で分けることはしないのと同じで、父親の鎧兜を譲り受けたり、兄弟兼用にするのは避けたいものです。 ご長男さまには鎧飾りが多いので、次男さまには兜飾りをお求めになればバランスがよいと思います。

 

鎧と兜

 鎧や兜について少しご説明申し上げます。
 鎧の胸の部分を良くご覧になってみてください。左右対称ではありませんね。 右の方は、栴檀板(せんだんいた)と言って、肺臓を守るものです。 左の方は、ハトのシッポと書いて鳩尾(きゅうび)と言い、心臓を守るものです。 右胸の栴檀板には下にシコロが付いていますが、左側の鳩尾(きゅうび)には大き目の板 だけでシコロが付いていません。これは体の急所を防御しながらも、矢を射るときには都合の良いような工夫から左右が違う形になっているのです。
  鎧櫃(よろいびつ)の正面に「前」と言う字が付いているものもありますが、お気づきでし ょうか? これは仏教の言葉で、真言密教(しんごんみっきょう)の経文(きょうもん)の中に 「兵が戦いに望むとき、守護の神仏は、すべて陣列の前にあって敵を追い払う」・・・・と言う意味の言葉があり、その中の「前」と言う字を選んでつけたもので、もちろん前を向 いていますが、前後を意味するものではございません。

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 兜飾りの兜のてっぺんをご覧になってみてください。兜のてっぺんにはまるい穴があいて いるのがおわかりでしょうか。これは天辺(てへん)といって、兜をかぶった時、頭が蒸れないように、いわば換気孔の役目をしていることとマゲをそこに通 してかぶった時に兜を安定させる役目とをしているものです。その周りを飾ってある金具を、八幡座(はちま んざ)といいます。
 兜の正面から上に伸びているものを鍬型(くわがた)と言います。兜飾りの鍬型は、源平 時代の豪華な大鍬型(おおくわがた)や優雅な長鍬型(ながくわがた)が一般 的で好まれ ております。 兜飾りはほとんどのものが、この鍬型を取り外すことができます。二本の鍬型を兜の金具 に差し込む時、両方の鍬型が内側へ弧を描くようにしてください。よく外側へ弧 を描くようにさしてあるのを見かけることがありますが、間違いですのでご注意くださいませ。 また、鎧や兜の金属部分には素手で直に触れないようにお気を付け下さいませ。

 

鎧や兜の選び方

 鎧や兜を選ぶ時や取り扱う時には、どのような事に注意したらよろしいでしょうか? 鎧は甲冑(かっちゅう)とも具足(ぐそく)とも言います。具足とは元々仏教の言葉で 「ものが具(そな)わっている」と言う意味ですので、鎧飾りとしてはご長男の飾りに適 しております。様式によって源平時代の大鎧、南北朝から室町時代の胴丸(どうまる)・ 腹巻(はらまき)、戦国時代の当世具足(とうせいぐそく)などがあり、どの鎧飾りも先ほど申しましたように、ご長男のお飾りには最適でございます。 お分かりのように兜はそれら鎧の一部ですから、源平時代の豪華な大鍬型や優雅な長鍬型、 あるいは戦国時代の実践的な南蛮兜まで様々な形がございますが、どれも次男さまのお飾 りに適しております。 鎧飾りでも、兜飾りでも、お選びになる時のポイントは全体に安定した重みが感じられる 事、鍬型・その二本の鍬型の真ん中にある前立て・両サイドへの吹き返し・などの全体の バランスがとれている事、威糸(おどしいと)の色彩や仕上げが、丁寧で念のいった仕事ぶりが見られるかどうか、収納する櫃の作り、塗・仕上げ具合などがチェックポイントに なります。

 

鎧や兜の取り扱い方

 鎧や兜の取り扱い方で注意したい事は、金属部分は飾り金物ですから、汗や汚れ、特に手の油なでを嫌います。手に取る時は直に金属部分をお持ちにならぬ よう、鍬型を差す時なども 平面ではなく側面を持ってなるべく手との接触部分を少なくするようにしてください。できれば手袋にご使用をお勧めいたします。 しまう時はホコリを払い金属部分は柔らかい布できれいに拭いてから、布に包み櫃に入れ てください。防虫剤は多く入れすぎると金属部分が変色する場合がありますのでご注意ください。当店では鎧飾り・兜飾りをお買い求めのお客様には、お飾りになる時や、おしまいになる時にお使いいただけるように、白い布製の手袋をサービスいたしております。

 

武者人形

 武者人形を選ぶ時にはどのような事に注意したら良いでしょうか? 端午の節句は男の子のお祝いですから、飾る人形も男らしさを強調した英雄・豪傑をテー マにした武者人形が多くなっています。 中国から伝来した鐘馗、おとぎ話でおなじみの桃太郎や金太郎、日本の歴史上の英雄・豪 傑である神武天皇・源義経・牛若丸・弁慶・加藤清正・徳川家康・武田信玄などすべて、 強さ、勇ましさ、逞しさ、正しさを象徴したものばかりでございます。 最近では、強いなかにもかわいらしさを加味したものも喜ばれておりますので、童顔のものや御所人形風なものも多く取り揃えてございます。 特に飾りの中心ともなる武者人形は、かわいらしくて、りりしい童顔の鎧着の子供大将に 人気があります。 お選びになる時はこれらの中からまず何よりもご自分の好みを中心に、そして仕立てに丁寧さが感じられる事、これがチェックポイントになります。 解らない事がございましたら専門の販売員に何なりとお尋ね下さい。そしてどうぞごゆっ くりお選びくださいませ。

 

鐘馗さん・神武さん

 それではここで、お子様の邪気を払う縁起物としての、鐘馗さん・神武さんに付いてご説明申し上げます。 端午の節句の風習は古来中国から伝来したものなので、中国の架空の英雄ともいえる鐘馗 さんも一緒にやってきました。 中国は唐の時代、玄宗皇帝はご病気になられた時、夢の中に鬼が出てきてうなされている と、そこへ鬼よりも恐い形相の大男が現れその鬼を退治してくれました。彼は終南山(し ゅうなんざん)の進士で鐘馗と名乗りました。夢から覚めた皇帝はなぜかすっかりご病気 が治っておりましたので、画家を呼んで夢の中の大男を想像しながら書かせたのが今日の 鐘馗と伝えられているものでございます。ですから端午の節句に鐘馗を飾ると言う事は、 鬼に象徴される蛇悪・不幸・病気などを払うと言う事が、当たり前の事ですがご家族がお 生まれになったお子様の健康や幸福を祈る端午の節句の意味と一緒だからでございます。
  鳳玉では葛飾北斎の原画を忠実に再現した鳳玉オリジナル、魔除「赤鐘馗」旗をご用意させていただいております。その迫力は他の追随を許さないものがあり、端午の節句飾りの 一つとしてお勧めいたします。
  また、鐘馗飾りと同じような意味を持つものが、神武さんです。日本初代の天皇、 神武天皇が大和平定のため、長髄彦(ながすねひこ)討伐に向かう時、金色のトビが 矢の先に止まり光り輝いたので、敵軍は目が眩み敗退したという古事をあらわし、これも やはり守護されるという意味が込められた人形です。 この様に五月人形は古くから邪気を払う縁起物としてお子様が強く逞しく立派に成長する事を願うものとして飾られてきたものです。

 

鯉のぼり

 お子様の立身出世を願う、鯉のぼりなどの外飾りに付いてご説明申し上げます。

 鯉のぼりの歴史は、端午の節句飾りとしては割合新しく、江戸時代の中頃から見られるよ うになりました。安永年間に「五月雨が 晴れると鯉の たけのぼり」という川柳があり 鯉の滝登りの「たき」と鯉のぼりを立てる竹竿の「たけ」とが、かけことばになっていて、 書物に「鯉のぼり」が見られる最初の記録です。 竜門の滝をのぼって、鯉が王の竜に変身するという古事から、勇ましく縁起の良い鯉の吹き流しを作って、鯉のぼりになったのです。

  現在でも地方によって、鯉のぼりの飾り方はまちまちで、竿を二本・三本と立てて、それ にロープを渡して満艦飾のように、沢山の鯉のぼりを飾る事によって、その家の威勢を誇 るところもございますし、また鯉のぼりよりも、吹き流しに重点を置いて、吹き流しの方 をより目立たせる地方もございます。 一般的な飾り方としましては、一番上に三色・五色・あるいは金吹雪などの吹き流し、二 番目にお父さん鯉にあたる黒基調の真鯉、三番目にお母さん鯉にあたる赤基調の緋鯉、一 番下にお生まれになったお子様にあたる青基調の子鯉という風に上からだんだん小さく飾 ります。

  鳳玉では、それらの鯉に矢車・回転球・ロープ・金具など、ポール以外のものが すべて入った「鯉のぼりセット」をご用意させていただいておりますので大変便利になっ ております。 以前はポールは、竹や木材などを使いましたが鳳玉では釣竿のように短くたためる軽金属 アルミポールをご用意させていただいておりますのでこちらも大変便利になっております。 また、ポールの長さは、もちろん立てる場所にもよりますが、一般 的には一番おきな真鯉 の、二倍の長さの物が、バランスが良いかと存じます。 

 鯉の大きさは、市街地では周囲の状況もありますので、3メートル・4メートル・5メー トル位までのセットが多く、郊外では、十分な広さがありますので6メートル・7メート ルセットなど大きいものが喜ばれております。また大きさを決める時のポイントといたし まして、鯉のぼりは屋外に飾るものですから、手にとって見る時は相当大きく派手に見え ても、実際に外に揚げてみると思ったより小さく地味に見えるものでございます。周囲の状況さえよろしければ一回り大き目で、派手な物をお選びになる事をお勧めいたします。
  また最近ではマンションのベランダに取り付ける小型セットもございます。 鳳玉では1.2メートル・1.5メートル・2メートルなどのマンションセットや取り付けが簡 単な鳳玉オリジナル「万能ポール付きセット」など多数ご用意させていただいておりますの で、どうぞ何なりと専門の販売員までお尋ね下さいませ。
  また鯉のぼりを揚げる時に、近くに電線がある場合はあらかじめ電力会社に電線にカバー を付けさせてください。無料サービスしてくれるはずでございます。

  次男さま・三男さまがお生まれになった時には、内飾りの場合ですと、たとえばご長男さ まには「鎧飾り」、次男さまには「兜飾り」など、それぞれセットとしておそろえになる方 がよろしいかと存じますが、鯉のぼりの場合はセットとして2セット目・3セット目を追 加するのではなく、一番下の子鯉を1匹ずつ追加していけばよろしいかと存じます。 また同じ外飾りといたしまして、お子様のお名前をフルネームで、伝統の職人が染め上げ ます「鳳玉オリジナル名前旗」を始め、本格的な武者幟も多種多様に取り揃えてございま す。

 

武者のぼり

 武者幟の場合ですと、絵柄の上の方に、それぞれご両家の家紋も一緒に染め上げますために多少お時間がかかりますので、どうぞお早めにご予約くださいませ。また他にも解らな い事などございましたら、何なりと専門の販売員までお尋ね下さい。そしてどうぞごゆっ くりお選びくださいませ。

 

正札販売

 かわいい赤ちゃんにとって、端午の節句飾りを贈られるという事は、一生に一度のチャンスなのです。春木屋は伝統と信用の正札販売をさせていただいております。 割引販売のお店の割引されたお値段と、春木屋の正札とを比べてみてください。きっと納 得していただけるものと信じております。 わからない事などございましたら、どうぞ何なりと専門の販売員までご相談くださいませ。

 

桐塑頭(とうそがしら)

 「鳳玉のひな人形は、ほんとうに良い顔をしています。」・・・のキャッチフレーズでおなじみの鳳玉は、明治の中頃より今日までお客様のご愛玩、ご鞭撻を頂いて100年以上 にわたり人形作りを続けているメーカーでございます。 「人形の命は顔」・・・良い人形作りはまず顔作りからと言われております。鳳玉では 桐塑頭(とうそがしら)の第一人者「関根宏生」、古今頭(こきんがしら)で最近成長が著しく、期待の若手「大塚玉映」などの頭を主体とした人形をご用意いたしております。どうぞごゆっくりご覧ください。 「よく見れば 我が子に似たり 鳳玉のひな」 声優の「黒沢りょう」さんのコマーシャルで良く聞かれる鳳玉の人形は、この道一筋の 人形師たちが心を込めて作った人形のみをお届けしております。 特別に注文した金襴、丁寧に仕立てた衣装、伝統の技法に忠実に作られた頭、そのどれひとつにも鳳玉の人形作りに対する姿勢が貫かれております。 どうぞこれらの人形の中からお気に入りの人形をお選びください。